熱意は、真剣を生み、
真剣は、双方をウィナーにする。

天本 裕
Yutaka Amamoto

提携営業部 マネージャー

Prologue

三井住友トラスト・グループとして一歩を踏み出したダイナースクラブ。新しい体制下で前へと進むそのタイミングで、古くからパートナー関係にある提携先との間で、契約内容を見直すことによるさらなる提携カードの発展を目的としたプロジェクトが立ち上がった。時を経たず2016年初頭、その会社のリレーションマネージャー(以下、 RM)としてアサインされた天本にとっても、全くの新しい業務。ダイナースクラブにとって、新しくRMとなった天本にとっても、非常に重要なプロジェクトが始まった。

Story 01

私たちだけが、ウィナーになるわけではない。

「その提携先とは、もともと非常にいい関係を築けているとの認識を持っていました。ただそうであるからこそ、慎重に考えながら進めなければいけない。」古くからのリレーションがあったので、門前払いされることはなかったと天本は語る。ただ、別のカード会社とも提携をしている規模の大きな提携先でもあり、こちらから提示するメリットに納得できなければ最悪、提携打ち切りという判断にもなりかねない。「契約内容の見直しというとすごく綺麗な言い方ですよね。もっと簡潔に言ってしまえば当社の配分比率を上げて、収益をアップしたいということに他ならない。」提携カードはあくまで両社で発行しているカード。年会費や売上など、それぞれに配分があり収益をどう分けるのか、収益に直接関わってくる条件交渉を行うということ。誰であっても目に見えるデメリットを看過できないだろう。「関係性がいいからこそ、単に配分比率の上げ下げという目に見える結果ではなく、お互いがもうワンステップ前向きになれる提案が必要になる。お付き合いを続けていくことにメリットを感じてもらわなければ意味がないと考えていました。当社だけがウィナーではないんです。」と。例えば配分比率を下げた分は会員数を増やす施作を実施する。そうして利用額を増やしながら双方の収益を伸ばしていく。私たちだけがウィナーになるための提案ではなく一緒に提携カードを拡大していきたい、発展させたいという根本的な考えについては議論を重ねる中でも何度も伝えた。「プロジェクトの最初の頃に、私たちの考えについてしっかりとお伝えできたことは、その後の交渉において確実にプラスであったと思います。」

Story 02

一人きりではなく、会社全体で考える。

「2週間に一度は、ディスカッションの場を設けて交渉を重ねました。当社の基幹システム移行もあり、約1年間ぐらい間が空いたのち2017年12月から再度、交渉が始まりました。」様ざまな項目について一つひとつ、議論を重ねてお互いが納得できる形に整えていくために、地に足のついた提案を心がけていた。「いきなり会員数が増えます!と言っても、それは絵に書いた餅ですよね。だから今までの過去の色々な施策を検討したり、私個人ではなく会社全体でどういう体制をとるのかという部分まで詰めながらお話させていただいたりしました。」会員数だけではなく、ダイナースクラブカードの特性でもある利用金額の大きさという点も考慮しながら、提案を重ねる。「見直しに向けて、私がリーダーシップをとりましたが、決して一人きりで頑張っているわけではなく、役員や上長の方に的確なアドバイスをいただいたりしていました。それに様ざまなシミレーションや試算では、営業企画部の方にかなり助けていただきました。夜遅くまで付き合ってもらうこともありました。」会員を獲得する部署、利用を伸ばす部署、退会を抑える部署、そして経営層との交渉。実に様ざまな社内調整を行いながら、実現可能な体制や施策を企画していく。「提携先との交渉はもちろんハードですが、社内調整もそれと同じくらい大変なものでした。やはり、古くからパートナー関係にあり、かつ当社の大きな割合を占める提携カードですので、どうしても注目が集まる(笑)。もっと上の役職の方が担当していてもいいような交渉だとも言えます。そんな大きな案件を任せていただいたのは、とても自信になりましたし、スキル・知識の面でもいい勉強になったと感じています。」

Story 03

より研ぎ澄まされた熱意が、真剣な場を作っていく。

「2018年に入って間もなく、先方のキーマンの一人が2018年3月に異動するということをお伺いしましたので、それまでに見直しの大枠を決めてしまいましょうと交渉のスピードを加速させました。」協議中にキーマンが変わると大きく方向性が変わるということはよくある。それまで積み上げていた関係性をまた1から積み上げなければいけなくなれば、双方にとってデメリットになる。そこで、今まで以上にスケジュールや、条件についての交渉を行った。時には、かなり強めの交渉に臨んだこともあった。先方からすると、かなり強引な印象を与えることもあったかもしれない。「ただそういう強い意思を見せたことで、そのキーマンの方にもこちらの熱意が伝わったのだと思います。異動される前にあなたと私たちとの間で詰めておきたいという想いをきちんと汲み取っていただき、先方の社内調整もかなり進めていだたけました。」異動までの時間はそこまで残ってはいない。天本は当時の雰囲気を振り返る。「真剣な雰囲気がそれまで以上に生まれていたと思います。より研ぎ澄まされているというか。そんな雰囲気がありました。私たちが提案している内容もそうですし、先方からの返答もそうです。両者が納得できる答えを出そうという必死さが生まれていたように思います。」協議自体が、納得できる場所に向かって進んでいることに確かな手応えを感じながら、交渉を重ねていく。「キーマンの方も異動される前に、形にできたことを喜んでいただきましたし、引き継いだ方もその熱を十二分に汲み取ってくれました。」そして、2018年5月、双方が納得した形で契約を見直し、新しい一歩が踏み出された。

Epilogue

あくまで通過点。これからリレーションをさらに強固にしていくために。

「双方が納得した形で契約の見直しが出来た結果はそれで良しとして、今後はしっかりと施策を実施したり現状の分析を行いながら、双方にメリットを生み出し続けることが実はすごく大切なんです。」会員獲得と提携先とのリレーション強化に携わりたいという動機から、現在の部署に異動してきた経緯もあり、契約の見直しはあくまでも通過点と天本は語る。「最初からこのプロジェクトに関わることができたのはキャリアの上でも非常に大きな仕事ですし、光栄なことだと感じています。責任が大きい分、大変さもありますし、時には責任が重すぎないか(笑)なんて思うこともありますが、だからこそ楽しいしやりがいがあります。」現在、4つの提携先のRMとして会員獲得やリレーション強化を担当している天本に理想の先に何があるのかを伺った。「私が担当している提携カードの会員数や利用額をもっと大きくして、当社の中での最も存在感のあるカードにしたいというのが理想。その先に何があるかというと、存在感があるカードだからこそできる新しいサービスやキャンペーンなどの実施、その結果、カードやサービスを利用する会員様の笑顔につながるように思います。そういう結果が、これからの自分の誇りになると思います。」